正常な尿酸値の基準値の範囲 | 痛風の診断基準と自覚症状
血液中の尿酸濃度が高い状態を高尿酸血症といい、基準値となる尿酸値は7.0㎎/dlです。高尿酸血症の患者は成人男子の約20%ともいわれ、自覚症状が無いことが多いため放置してしまいがちです。
尿酸値が高い状態が長く続くと、痛風やその他の病気の原因となりますので、しっかりとチェックして対策をとることが大切です。
今回は、正常な尿酸値の基準値の範囲と、痛風の診断基準・自覚症状についてまとめます。
正常な尿酸値の基準値の範囲
正常な尿酸値の基準値の範囲は、一般に、男性で4.0~6.5mg/dL、女性で3.0~5.0mg/dLとされ、7.0㎎/dl以上で高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症によって引き起こされる病気としては、痛風(痛風関節炎)、腎障害、尿路結石などがあげられます。さらに、痛風や高尿酸血症の患者は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症等の生活習慣病を併発しやすいことが分かっており、血清尿酸値を正常値の範囲内にコントロールすることは、健康な生活を送る上で非常に大切です。
高尿酸血症で、痛風発作や痛風結節がある場合、通常は薬物治療が行われます。自覚症状が見られない場合であっても、尿酸値が高い場合には、薬物治療や生活指導による改善に取り組むことが必要です。
痛風の診断基準と自覚症状
痛風発作(痛風関節炎)は、高尿酸血症が存在し急性の単関節炎が確認されれば診断は比較的容易です。診断基準としては、一般に、アメリカリウマチ学会の診断基準が用いられます。
痛風発作(痛風関節炎)の診断基準(アメリカリウマチ学会)
1.尿酸塩結晶が関節液中に存在すること
2.痛風結節の証明
3.以下の項目のうち6項目以上を満たすこと
- 2回以上の急性関節炎の既往がある
- 24時間以内に炎症がピークに達する
- 単関節炎である
- 関節の発赤がある
- 第1中足趾節関節の疼痛または腫脹がある
- 片側の第1中足趾節関節の病変である
- 片側の足関節の病変である
- 痛風結節(確診または疑診)がある
- 血清尿酸血の上昇がある
- X線上の非対称性腫脹がある
- 発作の完全な寛解がある
上記1~3のいずれかを満たすこと。
さらに急性関節炎を起こすリウマチ性疾患として、慢性関節リウマチや偽痛風などとの鑑別診断が必要です。
痛風の初期症状は、足の親指の付け根の関節炎が7割を占めており、ある日突然激しい痛みに襲われます。通常、7日~10日ほどで痛みや腫れは引き、次の発作まで全く症状はありません。
発作が治まった後は自覚症状がないため、医師に痛風の診断を受けたにも関わらず、尿酸値を正常範囲に収める努力を怠ってしまいがちです。しかし、血清尿酸値が基準値を超えた状態が続くと、しばらくたった頃に再び痛風発作の激痛に襲われることになり、薬物治療や食事制限、併発する生活習慣病との闘いに巻き込まれてしまうのです。
まとめ
今回は、正常な尿酸値の基準値の範囲と、痛風の診断基準と自覚症状についてご紹介しました。
初期の高尿酸血症は自覚症状がないことがほとんどですので、定期的に血液検査でチェックしておくことが大切です。また、既に痛風発作を経験している人は、症状の悪化や他の病気の併発を防止するためにも、しっかりと対策をとるようにしましょう。