いくら・明太子・数の子・白子・タラコのプリン体 | 魚卵類と痛風
白いご飯といっしょに食べるとおいしいタラコや明太子、筋子。手巻き寿司には欠かせない、いくら。お正月の縁起もので寿司ネタでもある数の子。魚卵は日本食に欠かせない食材です。
一般に魚卵はプリン体が多くて痛風に良くない食品と思われていますが、本当にそうなのでしょうか? 今回はいくらや明太子など、魚卵類のプリン体と痛風との関係についてまとめます。
痛風とプリン体
ひと昔前までは、痛風の原因となる尿酸値の上昇を抑えるには、プリン体の多い食品を避けることが最優先に考えらていました。
しかし、近年の研究によって、プリン体は体内で生成される量の方が食べ物として吸収される量よりも遥かに多いということが分かり、プリン体ばかりを神経質に避けることはなくなってきています。むしろ、痛風は肥満との関係が深いことが指摘されていることから、カロリー制限について指導を受けることが増えているようです。
痛風患者の一日のプリン体の摂取量の目安は400㎎以下が理想とされます。例えば、アジの干物80gを食べると、それだけでプリン体が200㎎となってしまい、1日で400㎎以下に抑えるのは厳しくなってしまいます。ですから、尿酸値が高い人は、どのような食品にどれくらいプリン体が含まれているのかを把握して、注意しながら食べることが大切です。
魚卵類のプリン体
100g中にプリン体が200㎎以上含まれる食品を高プリン体食品といいます。代表的なものが、レバーなどの内臓類と、白子やあん肝酒蒸しなどの珍味類です。
魚卵類はプリン体を含む卵が大量に集まっているイメージがあるため、プリン体が多い食べ物と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
魚卵類のプリン体含有量(mg/100g)
- イサキ白子 305.5
- 明太子 159.3
- タラコ 120.7
- 数の子 21.9
- 筋子 15.7
- イクラ 3.7
白子のプリン体が圧倒的に多いのですが、明太子やタラコのプリン体はその半分ほどに過ぎません。注目すべきは筋子、数の子、イクラのプリン体が少ないことです。
特に驚くことに、イクラは100g中3.7㎎しかなく、ほとんど無いに等しいということが分かります。イクラと同じ鮭系の卵である筋子は、加工するためか若干プリン体の含有量が上がっていますが、15.7㎎と低い値です。タラコも加工して明太子になると、プリン体の含有量が上がっています。
白子は卵ではなく精巣なので、魚卵というより肝と同じ内臓の一種と考えた方がよさそうです。白子は鍋や酢の物で1度に大量に食べる料理が多いため、尿酸値が高い人は極力避けましょう。
細胞数とプリン体含有量の関係
動植物の体を形作っている細胞の1つ1つには核があります。核には、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)などが含まれています。その核酸を構成している物質の1つがプリン体です。ですので、細胞1個あたりにプリン体が1単位あると考えられています。
卵は細胞1個でできている非常に大きな細胞です。イクラはあの一粒が細胞1個です。数の子もあの一粒一粒が細胞1個ずつです。大きな卵ほど100gあたりのプリン体が少なくなります。ちなみに、ニワトリの卵はプリン体が0㎎/100gです。
明太子は159.3mg/100gとプリン体が多くなっていますが、普通は一度に100gも食べることのない食品です。一度の量がせいぜい30g程度と考えると、プリン体摂取量は48mgほどなので、納豆1パック(40g)の含有量とほとんど変わりません。
まとめ
今回は、いくら・明太子・数の子・白子・タラコなど、魚卵類のプリン体についてご紹介しました。
なんとなくプリン体が多いと思われがちな魚卵類ですが、一部を除けば意外に多くないということが分かります。特に、鮭系の卵はプリン体が少ないようです。
例えば、ご飯の時はタラコや明太子ではなく筋子、海鮮丼ならイクラ丼を選んで食べるなどすると、苦痛を感じずにプリン体の制限に取り組むことができます。